_ 少しずつ復帰しているつもりなのだけど、一進一退。相変わらず。研究も仕事も中途半端、子育ても中途半端、生きているのも中途半端、という事態に陥りそうで、何を今/一番最優先にすべきか、自明ともいえるべきことをかんがえにゃあいかん症候群に罹っている。末期症状である。ぎりぎり踏みとどまっているのは、子どものせいにはすまい、という点のみ。でも一度だけ、言い訳に使ってしまったことがあった。あとは雪崩式にとはならないよう、まだなんとか徳俵にかかとを乗せている状況だ。わたし、どうなるんでしょう。。
暑い季節になってきたからなのか、冬生まれのカルガモさんは、毎日、大声で泣く。そのたびに、体を拭いてあげたり着替えをさせたり。朝はまだ涼しいうちに、近くの公園、神社、高級住宅街などを散歩する。野バラが咲き乱れる小道を歩き、その芳香にうっとりとしている時間が幸せだ。赤ん坊の笑顔というのはほんとうにまったくなんの含みもなく、まっすぐなんだなあ。この子の顔を曇らせてはいかんと思うのがわたしの徳俵かもしれない。まだぎりぎり踏ん張っている。その視界から、わたしが消えてほんの一分もしないうちに、カルガモさんは大声で泣き叫ぶ。洗面所の、お風呂の、台所の扉の向こうから声をかけたって、姿が見えないと、抱き上げるまで泣き続けるのだ。踏みとどまらずにいられようか。まだ、そう思える。
_ 昭和の日。カルガモさんの日本名を某さんにお知らせしたとき、「昭和時代の喫茶店の名前みたいやなあ〜」という反応をお示しになった。・・・。築地とかしあんくれーる、とかそういうノリに思われたようであった。って、どういうノリなのか。
_ ある日。衛星放送で、「ラブソングができるまで」を観る。昔、機内のオンデマンド放送でオープニングだけ観て、実はあとはついつい眠ってしまい、見逃していたのだった。わたしはヒュー・グラントが好きなのです。いろいろたいへんなことはたくさんあるんだけど、まああまり気にしないで、楽しく我が道を行きましょう、というような役柄が多い。と書くと、偏屈な役所が多いように思われるかもしれないが、そうではなく、明るくひょうひょうと適度に色気も出してというか、色気がありすぎる役が多いともいえる。「ラブ・アクチュアリー」と「アバウト・ア・ボーイ」とかもいいし、コスチューム劇ものも好きだ。
久々にじっくりとヒュー・グラントの顔をみれば、歳月は男前の俳優の顔にも影を落としていた。ロバート・レッドフォードほどには激しい変化ではないけれど、ああ、年月よ!という気分になる。ドリュー・バリモアはかわいかった。最初の方で来ていたローウェイストのワンピースがとてもかわいくて、彼女の雰囲気に似合っていたし、あんな服が着たいなあと思った。あの生地、遠目にはプリントのバティックのようにも見えたのだけど、一体、どこのテキスタイルだろうか。少し和風でもありアジアな感じの布にも見えた。ツボにはまったお洋服でした。デザインといい、テキスタイルといい、あれ欲しいなあ〜。カルガモさんが途中で泣き出したりしたものだから、映画は途切れ途切れにしか観られなかったので、またレンタルでもしてゆっくり鑑賞したいものです。
_ カルガモさんのお食い初めのときに、小さな鯛を焼いたのだが、そのおいしさにはまってしまい、このところ三日おきに鯛を食べております。小さい鯛なので、すぐに焼けるし、しっかりと塩をして、若干、強火で最初はからっと焼き、ひっくり返してからは遠火でじわじわと焼いています。身をほぐしてごはんにかけて食べたり、お茶漬け風にしたりして。ネコマタギ力を発揮して、きれいに食べたら、ああ今日も生きた、食った、がんばった、という気分になって幸せな眠りにつくのであった。
_ 某悪友と久しぶりに電話で話した。お互い、つい数年前までは、誰が好きとか嫌いとか、そういう話でなければ、どうやって就職しようかとか研究をどうしようかとか、そういう話題ばかりで語り合うことが多かった。それが相次いでそれぞれ配偶者を得て、子どもも持った。彼女が日本に帰国しているときは、たいていの場合、わたしが某国にいた。今回もタイミングが悪く、直接に会うことは叶わなかったが、やっと電話で話した次第。久しぶりに聞く声が、なんとはつらつとして明るかったこと!わたしの声は、たばこを吸うわけでもなく、お酒を飲むわけでもないのに、この数年、どんどんと低く枯れてきている。そして暗かったりもします(笑)。小さい子どものおかあさんて、これくらい明るい声のほうがいいなあと思ったのであった。彼女も長年、研究や学位論文のために疾風怒濤の日々を過ごしていたのだけれど、出産を機に、研究からは足を洗った。と本人はいうが、一時停止なのだと思う。わたしはわたしで、相変わらず踏ん切り悪く、いじましくもしがみついている。相変わらずである。
そういうふたりの話題が、今日はことごとく、子どもの話であったことが感慨深い。かるがもさんは「はらぺこあおむし」と「ぐりとぐら」がお気に入りであるが、彼女の息子はあおむしはきにいらなかったとか、わたしが先日、お祝いの内祝いに送った某国の赤ん坊の離乳食詰め合わせがとてもヘルシーでおいしそうに食べていたとか。そういう話をたくさんして、旧友らの集まりの際の話などもして、久しぶりに楽しい時間だった。
_ 某日。カルガモさん、両手を使ってものをつかんだりができるようになった。サルのぬいぐるみの尻尾と頭をつかんでぎゅーぎゅーと引っ張るのが好きなようだ。夜、一緒に寝る前、きゃっきゃとなにやら今日の楽しかったことを話してくれる。ひとしきりひとりでおしゃべりをした後、うそのようにこてんと深い眠りに落ちるようだ。それを確認して、わたしも直ちに眠りにつく。
_ 某日。首が完全に座った。腹ばいの姿勢を取らせると、なぜか満面の笑みを浮かべるのが好きなようだ。写真を撮って、夫に送った。
_ 某日。痛い思いをして死んだり、長生きはしたくない。ある朝、目が覚めることなく事切れるという死に方をしたい。